美容師として多くの女性の髪に接する中で、野澤健次はダメージヘアの深刻さを実感。さまざまな商品の成分を分析し、それらが髪に与える影響について研究するうちに、広く一般的に出回っているヘアケア商品では傷んだ髪を改善できないという結論に達しました。そこで、自ら成分を厳選し、配合を考えてオリジナル商品を自社開発。“日本人女性の髪をもっと美しく健康に”という熱意を語ります。
Q:枝毛や切れ毛、髪質などヘアの悩みは人それぞれ。お客様はどんな悩みを多く抱えていますか。
野澤:女性にとって髪の悩みの第1位はダメージヘア。7〜8割の方が傷んだ髪を改善したいと考えています。ダメージの原因はカラーやパーマ、縮毛矯正の繰り返しによるもの。ツヤのないバサバサの髪になってしまったり、ハリやコシを失ったり、ひどい場合には髪質自体が変わってしまうこともあります。また、無理なダイエットや睡眠不足、タバコ、薬物、不規則な生活もよくありません。髪は私たちが考える以上にデリケートなものなんですよ。ちなみに第2位はかゆみや皮脂といった頭皮の問題。第3位は抜け毛です。これらは主に頭皮のコンディションの管理に起因するものですね。
Q:髪のおしゃれを楽しむにあたって、パーマやカラーは外せません。これらを続けながら理想の髪の状態を保つにはどうすればよいのでしょうか。
野澤:私は自分の髪を頻繁にブリーチしていますが、ダメージはありません。もともと丈夫な髪質というわけではないんですよ。髪に本当によい成分を配合したシャンプーやトリートメントを使って正しくケアしていさえすれば、ダメージは防げるんです。市販されている商品の中には、残念ながら髪のことをあまり考えていないものもあります。消費者のみなさんが何も知らずに使っているとしたら、私は美をあずかるプロの立場として警鐘を鳴らさずにはいられません。使えば使うほど髪がダメになるものを、よいと勘違いして使い続けるほど不幸なことはないでしょう。
Q:私たちがよいと勘違いしている成分には主にどんなものがありますか。
野澤:シリコン配合のトリートメントはあまりおすすめできません。シリコンは髪を皮膜形成してなめらかな感触に仕上げるとともに、ガサつかないのでブローしやすい。しかも、ダメージヘアほどシリコンに対応するため、消費者は指どおりがスムーズになったと錯覚してしまうんです。でも、よく考えてみてください。シリコンはケイ素、つまり土から作られているんです。土は結晶化して固くなりますから、長く使い続けていると髪がゴワゴワになってしまいます。厄介なのは、シャンプーしてもシリコン成分を髪から完全に剥離できないこと。髪に蓄積してしまう危険性に気づいてほしいですね。
Q:シャンプーやトリートメントを選ぶ時、「サラサラ、ツヤツヤ」といった広告文句に目を奪われて、成分までチェックしない人がほとんどだと思います。ラベルを見る際の注意点は?
野澤:それが一番の問題点です。きれいになりたいという欲求が大きいわりには、世の中の女性たちは配合成分にあまりにも無頓着。確かに耳慣れない言葉がたくさん並んでいて、いちいちチェックするのは面倒という気持ちもわかります。でも、ヘアケア商品は髪や頭皮といった人間の身体に直接つけるもの。食品を選ぶ時と同じぐらいの注意力をぜひ発揮してほしいものです。ヘアケア商品の成分表には成分の名称は書かれていても、その配合量までは記載されていません。通常、配合量が多い順に成分を記載することになっていますから、先ほどお話ししたシリコンが先に名を連ねているような商品は、髪によくない成分を多量に含んでいるということになります。
Q:防腐剤が入っていない“生のシャンプー”を謳ったものもありますが、防腐剤の影響としてはどんなことが挙げられますか。
野澤:考えられるのは皮膚への刺激です。でも、そもそもシャンプー剤は水と配合して作られているので、100パーセント無添加はあり得ません。弊社の商品はアミノ酸成分を多く含んでいるため、防腐剤を使用していますが、フェノキシエタノールやパラベンなど各種の防腐剤を組み合わせることによって皮膚刺激を抑え、安心してお使いいただけるクオリティを実現しています。
Q:野澤さんが経営する美容室の掲示板にはお客様からさまざまな質問が寄せられていますね。それらを見ると成分に対する関心の高さがうかがえます。
野澤:髪の悩みは人それぞれ。毎日どんなシャンプーやトリートメントを使っていて、どれぐらいの頻度でパーマやカラーをしているのかを細かくヒアリングし、その方に最適なアドバイスをするよう心掛けています。何度もメールをやり取りするうちにお客様も知識が豊富になってきて、「これはどんな成分?」と尋ねられることもしばしば。一緒に勉強して、一緒に美しくなりましょうという気持ちでやっています。
Q:ファインゾーン オリジナル商品の開発に至るきっかけは?
野澤:美容室にはディーラー各社がさまざまな業務用商品を売り込みに来ます。また、メーカーの講習会に参加して講師の話を聞く機会もあります。そんな中で、当時としてはまだ珍しかった黒いシャンプーと出会いました。使ってみるとこれがなかなかよくて、個人的に成分を調べてみたんです。すると、確かに厳選されたよい成分を使っている。配合を変えればもっとよくなるのではないかと考えて、メーカーに依頼してオリジナル商品を作ってもらうことにしました。そうして生まれたのがファインゾーンのオリジナルシャンプーです。
Q:独特の黒い色の成分、ヘマチンについて詳しく教えてください。
野澤:ヘマチンは動物の血液中に含まれるヘモグロビンをもとに科学的処理したポルフィリン柔化合物。本来のヘマチンは血液中の主成分であるグロビンと結合してヘモグロビンを作ります。これを、髪に置き換えるとわかりやすいですね。髪の主成分ケラチンは血液中のグロビンとよく似ています。つまり、ヘマチンを髪につけるとグロビンとよく似た性質を持つケラチンと結合して力を発揮するわけです。ヘマチンには強力な酸化作用があり、褐色防止や消臭、育毛効果も期待できます。シャンプーにヘマチンをたっぷり配合することで髪を疑似的に補修し、ハリやコシを生み出すことができるのです。
Q:美しさに真剣な女性をとことん応援する野澤さん。
野澤:キューティクルの状態や引っ張り強度、髪の水分量などを詳細に観察できるマイクロスコープ(毛髪顕微鏡)を購入して、弊社の商品をお使いいただいているお客様のアフターフォローが出来るようヘアカルテを開発しました。遠隔地のお客様からは髪を定期的に送付してもらい、その都度、カルテを付けていくことで、履歴をたどりながら的確なアドバイスをすることが出来ます。このヘアカルテによって美容師を超えたヘアドクターの役目が果たせると考えています。私が目指すのはマスマーケティングの中でのワンtoワン。多くの方にファインゾーン製品の魅力を知っていただくことはもちろん、ご愛用いただく以上は責任を持って美しい髪をお約束したい。また、ファインゾーンの考え方にご賛同いただける全国の美容室のオーナー様にもぜひ、お試しいただきたいと思います。
Q:最後に、野澤さんが考える真の美しさについて聞かせてください。
野澤:若いからきれいだとか、着飾っているから美しいのではなく、人は内面の輝きを持って初めて本当に美しくなれるのです。現在ではアンチエイジングなどという言葉が一般化し、まるで歳をとることが悪いことでもあるかのような風潮があります。決してそうではありません。むしろ、歳をとることは、その人の内面に経験や知恵や思いやりや愛情が織り重なり、美しさの素養が増えることなのです。大切なのは自分の価値観を信じること。女性のみなさんには揺るぎない価値観を持って、自分に正直に、しなやかに歳を重ねていっていただきたいですね。見せかけだけの美しさはすぐに剥がれてしまいます。でも、本物の美しさは決して剥がれたり、色あせたりはしません。髪の一本一本にその人の生き方が表れるような、真の美しさ、真の健やかさを、今後もお客様と二人三脚でかなえていければと願っています。ありがとうございました。
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